鍼灸施術を受ける前に知っておくべき副作用と注意点|不安を解消!専門家が解説

鍼灸治療に興味はあるけれど、副作用や注意点が気になる…そんなあなたのために、この記事では鍼灸のメリット・デメリットを徹底解説します。
鍼灸治療の効果やメカニズムを分かりやすく説明するだけでなく、内出血や腫れといった比較的よく見られる副作用から、稀に起こる神経損傷といった深刻な副作用まで、その種類と頻度を具体的にご紹介します。
さらに、安全に鍼灸治療を受けるための鍼灸院選びのポイント(厚生労働省認可の有無、衛生管理状況、口コミや評判の確認など)、施術前・施術中・施術後の注意点、そして鍼灸が不向きな人や症状についても詳しく解説。
妊娠中の方、出血しやすい方、感染症の方は特に注意が必要です。
よくある質問への回答も掲載し、あなたの不安を解消します。
この記事を読めば、鍼灸治療を受けるべきか、安心して施術を受けられる鍼灸院はどこなのかが分かるはずです。副作用のリスクを正しく理解し、鍼灸治療を安全に活用するための知識を身につけて、健康な毎日を送りましょう。
目次
- 鍼灸治療とは何か?その効果とメカニズム
- 鍼灸の副作用について|種類と頻度
- 鍼灸施術を受ける際の注意点|安全に受けるために
- 鍼灸が不向きな人・症状
- 鍼灸施術後の注意点|施術効果を持続させるために
- 鍼灸の副作用と注意点に関するQ&A
- まとめ
1. 鍼灸治療とは何か?その効果とメカニズム
鍼灸治療とは、東洋医学に基づいた伝統的な治療法の一つです。身体に鍼を刺したり、もぐさを燃やして温熱刺激を与えたりすることで、様々な症状の改善や健康増進を図ります。WHO(世界保健機関)もその効果を認めており、近年では西洋医学との併用も注目されています。
1.1 鍼灸の効果
鍼灸治療は、痛みや痺れ、自律神経の乱れ、内臓機能の調整など、幅広い症状に効果があるとされています。具体的には、次のような効果が期待できます。
症状 | 効果 |
肩こり | 筋肉の緊張緩和、血行促進 |
腰痛 | 炎症抑制、神経痛の緩和 |
頭痛 | 血管拡張、鎮痛作用 |
生理痛 | ホルモンバランス調整、血行促進 |
冷え性 | 血行促進、代謝向上 |
不眠 | 自律神経調整、リラックス効果 |
胃腸の不調 | 消化機能促進、蠕動運動の活性化 |
アレルギー症状 | 免疫力向上、炎症抑制 |
これらの効果は、鍼灸治療が身体の自然治癒力を高めることで得られると考えられています。西洋医学では対処が難しい症状にも効果を発揮することがあるため、代替医療としても注目されています。
1.2 鍼灸のメカニズム
鍼灸治療のメカニズムは、現代医学の視点からも研究が進められています。主なメカニズムは以下の通りです。
1.2.1 神経系への作用
鍼刺激は、皮膚や筋肉にある感覚受容器を刺激し、その情報が脊髄や脳に伝達されます。これにより、エンドルフィンなどの鎮痛物質が分泌されたり、自律神経が調整されたりすることで、痛みや不調が緩和されると考えられています。モルヒネの6.5倍の鎮痛効果を持つβエンドルフィンが分泌されるという報告もあります。
1.2.2 血行促進作用
鍼刺激は、血管を拡張させる作用があります。血行が促進されることで、酸素や栄養が組織に届けられやすくなり、老廃物の排出も促されるため、筋肉の緊張緩和や炎症の抑制につながります。
1.2.3 免疫系への作用
鍼灸治療は、免疫細胞の活性化を促すことで、免疫力を高める効果があるとされています。白血球の一種であるリンパ球の増加などが確認されており、風邪などの感染症予防にも役立つと考えられています。
これらのメカニズムが複雑に作用し合い、鍼灸治療による様々な効果がもたらされると考えられています。しかし、まだ解明されていない部分も多く、今後の研究が期待されています。
2. 鍼灸の副作用について|種類と頻度
鍼灸は比較的安全な施術法ですが、全く副作用がないわけではありません。副作用のほとんどは軽度で一時的なものですが、稀に重篤な症状が現れることもあります。施術を受ける前に、どのような副作用が起こり得るのか、またその頻度や対処法について理解しておくことが大切です。
2.1 比較的よく見られる副作用
鍼灸治療後、比較的よく見られる副作用としては、以下のようなものがあります。これらの副作用は一時的なものが多く、通常は数日から数週間で自然に治まります。
2.1.1 内出血
鍼を刺した部位に内出血が生じることがあります。これは、鍼が微細な血管を傷つけることで起こります。通常は数日で自然に吸収されますが、皮膚が弱い方や血液がサラサラになりやすい薬を服用している方は内出血が出やすい傾向にあります。 皮膚に色が残る場合もありますが、通常は1~2週間で消えていきます。
2.1.2 腫れ
鍼を刺した部位が腫れることがあります。これは、鍼による刺激に対する体の反応として起こります。内出血を伴う場合もありますが、通常は数日で治まります。
2.1.3 痛み
鍼を刺す際にチクッとした痛みを感じることがあります。また、施術後に筋肉痛のようなだるさや痛みを感じることがあります。これは、鍼の刺激によって筋肉が収縮したり、血行が促進されたりする反応です。通常は数日で治まりますが、痛みが強い場合や長引く場合は鍼灸師に相談しましょう。
2.2 稀に起こる副作用
稀ではありますが、以下のような副作用が起こる可能性もあります。これらの症状が現れた場合は、すぐに鍼灸師に相談するか、医療機関を受診しましょう。
2.2.1 めまい
施術中に、または施術後にめまいを感じることがあります。これは、自律神経のバランスが乱れることによって起こると考えられています。横になる、水分を摂るなどで改善することが多いですが、症状が続く場合は医師の診察を受けましょう。
2.2.2 倦怠感
施術後に強い倦怠感を感じることがあります。これも自律神経の乱れや、身体がリラックス状態になることによる反応と考えられています。十分に休息を取れば通常は回復します。
2.2.3 神経損傷
非常に稀なケースですが、不適切な施術によって神経が損傷する可能性があります。痺れや麻痺などの症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
副作用 | 症状 | 頻度 | 対処法 |
内出血 | 鍼を刺した部位の皮膚に青あざができる | 比較的よく見られる | 通常は数日で自然に消失。心配な場合は鍼灸師に相談。 |
腫れ | 鍼を刺した部位が腫れる | 比較的よく見られる | 通常は数日で自然に消失。冷やすことで緩和する場合も。 |
痛み | 鍼を刺す際の痛み、施術後の筋肉痛 | 比較的よく見られる | 通常は数日で自然に消失。痛みが強い場合は鍼灸師に相談。 |
めまい | 施術中、または施術後にめまいが起こる | 稀 | 安静にする、水分を摂る。症状が続く場合は医師の診察を。 |
倦怠感 | 施術後に強い倦怠感を感じる | 稀 | 十分な休息を取る。 |
神経損傷 | 痺れ、麻痺などの神経症状 | 非常に稀 | すぐに医療機関を受診。 |
感染症 | 発熱、腫れ、痛みなど | 非常に稀(適切な衛生管理が行われていればほとんど起こらない) | すぐに医療機関を受診。 |
上記以外にも、稀に、施術部位の感染症、気胸などが起こることがあります。施術を受ける際には、信頼できる鍼灸院を選び、施術前にしっかりと説明を受け、疑問点があれば質問することが重要です。 また、施術後に違和感を感じた場合は、すぐに鍼灸師に相談しましょう。
3. 鍼灸施術を受ける際の注意点|安全に受けるために
鍼灸治療を安全に受けるためには、施術を受ける前の準備や、鍼灸院選びが重要です。安心して施術を受けられるよう、以下の点に注意しましょう。
3.1 鍼灸院選びの注意点
鍼灸院を選ぶ際には、以下の3つのポイントを踏まえることで、信頼できる鍼灸院を見つけやすくなります。
項目 | 詳細 |
厚生労働省の認可 | 国家資格である「はり師」・「きゅう師」の免許を取得しているかを確認しましょう。免許証は院内に掲示されていることが多いです。ホームページで確認することも可能です。無資格の施術は、健康被害のリスクが高まるため避けるべきです。 |
衛生管理 | 院内が清潔に保たれているか、使い捨ての鍼を使用しているかを確認しましょう。感染症のリスクを減らすために、衛生管理は非常に重要です。使用済みの鍼の処理方法についても確認しておくと安心です。 |
口コミや評判 | インターネット上の口コミや評判を参考に、施術内容や接客について事前に調べておきましょう。地域の掲示板やSNS、Googleの口コミなどを確認することで、他の患者さんの体験談を知ることができます。 |
3.1.1 その他
- 鍼灸院の診療方針や得意分野を確認しましょう。美容鍼に特化している、スポーツ鍼灸を得意としているなど、鍼灸院によって専門分野は異なります。ご自身の症状や目的に合った鍼灸院を選ぶことが重要です。
- 初診時のカウンセリングを重視しましょう。丁寧なカウンセリングを行い、症状や体質、生活習慣などを詳しく聞いてくれる鍼灸院は信頼できます。治療方針や施術内容についてもしっかりと説明してくれるかどうかも重要なポイントです。
- 費用体系が明確であるかを確認しましょう。施術料金や保険適用について、事前に確認しておくことが大切です。追加料金が発生する場合は、その内容についても明確に説明を受けてください。
- アクセスや診療時間を確認しましょう。自宅や職場からのアクセスが良いか、診療時間は自分のライフスタイルに合っているかを確認しておきましょう。
3.2 施術前の注意点
施術前の準備も、安全な鍼灸治療には欠かせません。以下の点に注意しましょう。
項目 | 詳細 |
食事 | 施術前の2時間は食事を控えましょう。空腹時でも満腹時でも、めまいや吐き気を起こしやすくなる可能性があります。 |
服装 | ゆったりとした服装で施術を受けましょう。施術部位へのアクセスが容易な服装が望ましいです。また、施術後、患部に刺激を与えないためにも、締め付けの少ない服装がおすすめです。スカートではなく、ズボンを着用するようにしましょう。 |
持病やアレルギー | 持病やアレルギー、服用中の薬がある場合は、必ず施術前に鍼灸師に伝えましょう。安全な施術を受けるために、正確な情報を伝えることが重要です。 |
3.3 施術中の注意点
施術中は、自身の体調変化に気を配り、鍼灸師とのコミュニケーションを大切にすることが重要です。
項目 | 詳細 |
医師との連携 | 他の医療機関で治療を受けている場合は、鍼灸師に伝え、必要に応じて医師との連携を取りましょう。特に、持病がある場合や薬を服用している場合は、医師の意見を聞くことが重要です。 |
施術者の指示に従う | 施術中は、鍼灸師の指示に従いましょう。体位や呼吸など、指示されたことを守ることで、より安全で効果的な施術を受けることができます。 |
違和感があればすぐに伝える | 施術中に痛みや違和感を感じた場合は、我慢せずにすぐに鍼灸師に伝えましょう。些細な違和感でも伝えることで、適切な処置を受けることができます。 |
4. 鍼灸が不向きな人・症状
鍼灸は多くの症状に効果が期待できる治療法ですが、体質や状態によっては施術が適さない場合があります。安全に鍼灸を受けるために、以下の項目を確認しましょう。
4.1 妊娠中の方
妊娠中は、特に安定期に入るまでは、鍼灸施術は慎重になるべきです。お腹や腰への刺激は子宮収縮を促す可能性があり、流産や早産のリスクを高める可能性が懸念されます。どうしても施術を受けたい場合は、必ず産婦人科医に相談し、同意を得た上で、妊娠に精通した鍼灸師のいる鍼灸院を選びましょう。
4.2 出血しやすい方
血友病などの血液凝固障害をお持ちの方は、鍼灸施術によって内出血がひどく広がる可能性があります。また、抗凝固剤を服用している方も、内出血のリスクが高まります。施術前に必ず鍼灸師に相談しましょう。
4.3 感染症の方
インフルエンザ、肺炎、新型コロナウイルス感染症などの感染症に罹患している場合は、施術を控えるべきです。感染を広げるリスクがあるだけでなく、症状が悪化する可能性も考えられます。回復してから施術を受けるようにしましょう。
4.4 その他、鍼灸施術に注意が必要な方・症状
状態 | 注意点 |
重度の糖尿病 | 傷の治りが遅いため、感染症のリスクが高まります。施術前に医師に相談しましょう。 |
悪性腫瘍 | 癌の進行を促進する可能性が懸念されるため、施術は慎重に判断する必要があります。担当医と相談の上、施術を受けるかどうか決定しましょう。 |
ペースメーカー使用者 | ペースメーカーの誤作動を引き起こす可能性がゼロではありません。施術前に必ず鍼灸師に相談し、ペースメーカーの種類や設置部位を伝えましょう。 |
皮膚病 | アトピー性皮膚炎やヘルペスなど、皮膚に炎症や感染がある場合は、施術部位が悪化する可能性があります。症状が落ち着いてから施術を受けるようにしましょう。 |
高熱 | 高熱が出ている時は、体の抵抗力が弱まっているため、施術によってさらに体調を崩す可能性があります。熱が下がってから施術を受けましょう。 |
飲酒後 | 飲酒後は、血行が促進されているため内出血しやすくなる上、施術の効果も分かりにくくなります。施術を受ける際は、飲酒を控えてください。 |
極度の空腹時/満腹時 | 極度の空腹時や満腹時は、めまいや吐き気などの症状が現れる可能性があります。施術を受ける際は、食後1~2時間程度の間隔をあけるようにしましょう。 |
金属アレルギー | 鍼に使用されている金属でアレルギー反応が出る可能性があります。使用されている金属の種類を確認し、アレルギー反応が出たことがある場合は、施術前に鍼灸師に相談しましょう。 |
ケロイド体質 | 鍼を刺した部分がケロイド状になる可能性があります。施術前に鍼灸師に相談しましょう。 |
上記以外にも、不安な点や疑問点があれば、施術前に必ず鍼灸師に相談しましょう。信頼できる鍼灸師としっかりとコミュニケーションをとることで、安心して施術を受けることができます。
5. 鍼灸施術後の注意点|施術効果を持続させるために
鍼灸施術を受けた後は、その効果を持続させ、より良い健康状態を維持するために、いくつかの注意点を守ることが大切です。施術後の過ごし方によって、鍼灸の効果がさらに高まることもあります。逆に、不適切な行動は効果を減弱させるだけでなく、体に負担をかける可能性もあるため、注意が必要です。
5.1 安静と休息
鍼灸施術後は、体がリラックスした状態にあります。副交感神経が優位になり、心身ともに穏やかになっているため、この状態を維持することが大切です。施術直後に激しい運動や活動をすると、交感神経が活発になり、せっかくの施術効果が薄れてしまう可能性があります。少なくとも施術後30分程度は、安静に過ごすようにしましょう。
5.2 水分補給
鍼灸施術は、体内の気の流れを調整し、老廃物の排出を促進する効果があります。そのため、施術後は積極的に水分を摂取することで、老廃物の排出をさらに促し、体内の浄化作用を高めることができます。カフェインやアルコールを含む飲み物は利尿作用があるため、施術後は避けて、水やノンカフェインのお茶などを飲むように心がけましょう。目安として、施術後1時間以内にコップ1杯程度の水分を摂取するのがおすすめです。施術後、適切な水分補給を行うことで、鍼灸の効果を最大限に引き出すことができます。
5.3 入浴
鍼灸施術を受けた当日は、施術部位への刺激を避けるため、長時間の入浴や熱いお風呂は控えましょう。ぬるめのお湯に短時間つかる程度であれば問題ありませんが、サウナや岩盤浴などは避けるべきです。施術当日はシャワーのみで済ませる方が安心です。入浴は翌日以降にしましょう。
5.4 食事
鍼灸施術後は、消化機能が活発になっているため、暴飲暴食は避け、消化の良いものを食べるように心がけましょう。また、施術の効果を高めるためには、栄養バランスの良い食事を摂ることも大切です。特に、ビタミンやミネラルが豊富な野菜や果物を積極的に摂取するようにしましょう。施術直後は、胃腸に負担をかけないよう、スープやおかゆなど、消化の良いものを少量食べるのがおすすめです。
5.5 運動
鍼灸施術後は、激しい運動は避け、軽いストレッチやウォーキングなど、体に負担をかけない程度の運動にとどめましょう。施術によって緩んだ筋肉や関節に負担をかけると、痛みや炎症を引き起こす可能性があります。施術後2~3日は、激しい運動は控えるのが安全です。ヨガやピラティスなど、ゆったりとした動きで体をほぐす運動は、施術効果を高めるのに有効です。
5.6 飲酒・喫煙
鍼灸施術後は、血行が促進されているため、飲酒や喫煙は控えるべきです。アルコールやニコチンは血管を収縮させる作用があり、施術効果を阻害する可能性があります。施術当日は、飲酒と喫煙は避け、翌日以降も過度な摂取は控えましょう。施術の効果を最大限に得るためには、禁酒・禁煙を心がけることが重要です。
5.7 日常生活での注意点
注意点 | 詳細 |
激しい運動 | ランニング、重量挙げ、激しいスポーツなどは施術後数日間は控えましょう。 |
長時間のデスクワーク | 同じ姿勢を長時間続けることは、施術の効果を減少させる可能性があります。こまめに休憩を取り、軽いストレッチを行いましょう。 |
重い荷物の持ち運び | 施術部位に負担がかかるため、重い荷物の持ち運びは避けましょう。 |
睡眠不足 | 質の良い睡眠は、施術効果を高めるために重要です。施術後は、十分な睡眠時間を確保するように心がけましょう。 |
冷え | 体を冷やすと、血行が悪くなり、施術効果が減少する可能性があります。特に、施術部位は冷やさないように注意しましょう。 |
これらの点に注意することで、鍼灸の効果を最大限に引き出し、健康増進に繋げることができます。何か気になることや不安なことがあれば、遠慮なく鍼灸師に相談しましょう。
6. 鍼灸の副作用と注意点に関するQ&A
ここでは、鍼灸の副作用と注意点に関してよくある質問にお答えします。施術を受ける前の不安解消にお役立てください。
6.1 鍼灸の副作用はどれくらいで治まりますか?
鍼灸施術後に起こる内出血や腫れ、痛みといった比較的よく見られる副作用は、多くの場合、数日から1週間程度で自然に治まります。ただし、症状が長引く場合や悪化する場合は、施術を受けた鍼灸院に相談するか、医療機関を受診しましょう。
6.2 鍼灸は痛いですか?
鍼灸治療で使用される鍼は髪の毛ほどの細さで、痛みはほとんど感じません。人によっては、鍼を刺入する際にチクッとした感覚や、鍼が体内にある時に鈍い痛み、響き、しびれ感を感じることもありますが、我慢できないほどの痛みではありません。痛みに敏感な方は、施術前に鍼灸師に相談しましょう。また、灸治療では、もぐさを燃やすため、温かさや熱さを感じますが、やけどにならないよう配慮して行われます。
6.3 鍼灸で感染症になることはありますか?
鍼灸治療で使用する鍼は、ディスポーザブル鍼(使い捨て鍼)を使用するのが一般的です。滅菌処理された使い捨ての鍼を使用することで、感染症のリスクを最小限に抑えています。また、施術者は衛生管理を徹底し、施術前に手指の消毒を行うなど、感染症予防に努めています。不安な場合は、鍼灸院の衛生管理について確認しましょう。
6.4 鍼灸治療を受けられない場合はありますか?
以下のような方は、鍼灸治療を受けられない場合があります。必ず施術前に鍼灸師に相談しましょう。
状態 | 詳細 |
妊娠中 | 妊娠中は、お腹や腰への刺激を避ける必要があります。安定期に入っていれば施術可能な場合もありますが、必ず医師に相談の上、鍼灸師にもその旨を伝えましょう。 |
出血しやすい、血が止まりにくい | 血友病などの血液疾患をお持ちの方は、内出血のリスクが高いため、鍼灸治療は避けた方が良いでしょう。 |
感染症 | 感染症にかかっている場合は、症状が悪化する可能性があるため、鍼灸治療は控えましょう。 |
重度の皮膚疾患 | 皮膚に炎症や化膿がある場合は、鍼灸治療によって症状が悪化する可能性があります。 |
ペースメーカーを使用している | ペースメーカーに影響を与える可能性があるため、鍼灸治療は避けるべきです。 |
6.5 鍼灸の効果を高めるにはどうすれば良いですか?
鍼灸の効果を高めるためには、以下の点に注意しましょう。
- 施術後は、十分な休息を取り、体を休ませましょう。
- 水分を十分に摂り、体内の老廃物を排出しましょう。
- 施術当日は、激しい運動や飲酒、長時間の入浴は控えましょう。
- 定期的に鍼灸治療を受けることで、効果を持続させることができます。治療頻度や期間については、鍼灸師と相談しましょう。
- 施術前に、気になることや不安なことは、鍼灸師に相談するようにしましょう。
6.6 鍼灸院を選ぶ際に注意すべき点はありますか?
鍼灸院を選ぶ際には、以下の点を参考にしましょう。
- 国家資格を持つ鍼灸師が施術を行っているか確認しましょう。(はり師、きゅう師免許)
- 衛生管理が徹底されているか、清潔な環境であるか確認しましょう。
- インターネット上の口コミや評判を参考にしましょう。
- 治療方針や料金体系を事前に確認し、納得した上で施術を受けましょう。
- 施術を受けやすい雰囲気かどうか、相性の良い鍼灸師かどうかを見極めることも大切です。
6.7 健康保険は使えますか?
鍼灸治療は、医師の同意書があれば健康保険の適用を受けることができます。対象となる症状は、神経痛、リウマチ、頸腕症候群、五十肩、腰痛症、頸椎捻挫後遺症です。保険適用を希望する場合は、事前に医師の診断を受け、同意書を取得しましょう。また、鍼灸院が保険医療機関に指定されているかどうかも確認が必要です。
7. まとめ
この記事では、鍼灸の副作用と注意点について詳しく解説しました。
鍼灸は、肩こりや腰痛、冷え性など様々な症状に効果が期待できる伝統的な治療法ですが、施術を受ける前に副作用や注意点について理解しておくことが大切です。
比較的よく見られる副作用として、内出血、腫れ、痛みなどがあります。稀ではありますが、めまいや倦怠感、神経損傷といった副作用が起こる可能性も理解しておきましょう。
これらの副作用は一時的なものが多く、適切な処置を行えば自然に治まることがほとんどです。ただし、症状が長引く場合や悪化する場合は、速やかに鍼灸院に相談しましょう。
安全に鍼灸施術を受けるためには、厚生労働省の認可を受けているか、衛生管理が徹底されているか、口コミや評判などを確認し、信頼できる鍼灸院を選ぶことが重要です。
施術前には、食事や服装、持病やアレルギーについて鍼灸師に伝えるようにしましょう。施術中は、医師との連携が必要な場合もあるので、事前に相談しておきましょう。
また、施術中に違和感があればすぐに伝えることも大切です。妊娠中の方、出血しやすい方、感染症の方は鍼灸が不向きな場合があるので、施術を受ける前に医師に相談することをおすすめします。
施術後は、安静にし、水分を十分に摂り、激しい運動は避けましょう。これらの注意点を守り、鍼灸の効果を最大限に活かしましょう。